先月、国家資格「キャリアコンサルタント」の更新を敢えてしなかったため資格を失効しました。
手放すのはとても勇気が要ったのですが、その理由を書きました。
キャリアコンサルタントになった経緯
私は2013年にキャリアカウンセラーの資格を取りました。この時は民間資格だったのですが少しずつ知名度が上がっていき、2016年に突如として国家資格になりました。
すでにキャリアカウンセラー資格保持者は(いくばくかのお金を払えば)国家資格にしてくれる+これからは「キャリアカウンセラー」も名乗ってはいけないというので上納金 資格登録料を払い、めでたく国家資格もちになりました。
キャリアコンサルタントになってよかったこと
制度上、キャリアコンサルタント資格保持者でなければできない仕事が増えたため、今までやったことがない分野や企業向けのお仕事の依頼をいただける機会が増え、仕事や人脈の幅が広がり(単価も上がり)いっときはほくほくして国家資格の恩恵にあずかっていました。
資格更新を迷った理由
1.ぶっちゃけお金と時間がかかる
- 5年ごとの更新があり、そのあいだに数十時間の研修(=数十万円の研修費)を支払う必要があること(※実務経験による割引あり)
- 研修申し込みの締め切りが早いこと
- さらに更新料もある
ということがネックでした。忙しいし高いし行ける時にすぐに申し込めないしあ〜研修めんどくさ〜受けたくね〜というのが正直なキモチ。
2.職業興味検査が今の時代に合っていないと感じた
自己理解のスタートになるアセスメントツールとして職業興味検査(VPI、VRT)があります。これが仕事のジャンルを6分割するというもので、血液型よりは多いけど星座よりは少ない。
さらに興味のあるジャンルごとに例として具体的な職業名が出ているのですが数がめちゃくちゃ少ない。学生向けのVRTは1ジャンルにつき20〜30。全部で200にも満たない職業名です。厚生労働省の職業分類は27,000以上の職業名(2021.10現在)が載っているのに!!
さらに驚くのは、そのうちの1つは『電話交換手』。
デンワコウカンシュ?
いったいいつの時代の職業なの〜〜〜〜〜!!!
200のうちの1つにするほど需要があるの〜〜〜〜!?
他にも大学院を出ていなければなれなそうな職業名も複数書いてあり、これを使って学生にキャリアカウンセリングしていても全然イメージも湧かず、手応えがなく終わることもしばしばでした。
3.時代の変化に合わない王道キャリアコンサルティングに疑問を感じた
終身雇用時代も終わり大企業も副業もOKのところが増え、趣味が仕事になる人や1つのジャンルに囚われず色々なところで少しずつ稼ぐという人も増えました。
AIでもできる仕事が増え、人間は機械にはできないクリエイティブな仕事やマルチな働き方がこれからは増えると言われています。
また学生の間でも『ユーチューバー』『ゲーム実況者』『フリーのプログラマー』などWeb上で活躍する職業が人気です。実際これだけで食べていける人は少数で、アルバイトや副業をしながら生計を維持している人も多数いると思います。
ですがハローワークに行けば「1つに絞りましょう」って言われるだろうし、メインの他に副業もしたり趣味を仕事にしちゃいなよ!などと言ってくれるキャリコンは少数派でしょう。
マルチに稼げる才能を持っている人への『王道キャリアカウンセリング』『国家資格キャリアコンサルタントの意義』ってなに・・・?と思うようになり、むしろ私は王道の形に囚われない人を自由に応援したいと思ったので別に資格は必要ないな、と思いました。
国家資格を手放すということ
でも実際、失効はめっちゃ怖かったです。国家資格を持っているというブランド力&説得力。アドバイスをしたくてもお前誰だよ、と思われるところが資格があるだけで箔がつきますし、聞く耳も持ってくれます。
先述の通り資格がないとできない仕事、資格があったからこそいただけた仕事がありました。
これを手放すと稼ぎが少なくなるんじゃないか、仕事が来ないんじゃないか、国家資格持ちからただの人になってしまうんじゃないか。自分なんて誰も頼ってくれないのではないか。
失効までの1年ぐらいは「やっぱり更新しようかな」と何度も揺れたりして、気持ちは「もう必要ない」と思っていたけど、頭は「でも必要でしょ」と思う狭間で、更新期限のギリギリまで迷いに迷いました。
失効して感じたこと
期限が過ぎて「失効しました」というお知らせが来たときもちょっとショックでした。使えないのに登録証もなかなか捨てられません(苦笑)。箔への未練がタラタラです。
でも資格を持っていることで自分自身が「キャリコンとはこうあらねば」みたいなイメージに囚われて「学びを続けていかねばならぬ!」と苦しくなったり、きちんと学んでいる人へのコンプレックス、得意の型破りなカウンセリングができなくなる恐れもあったので、手放したら気分が楽になりました。
これからのこと
私が力になりたいのは「資格がある人だから」と相談してくれる人より、資格の有無にかかわらず私だから相談したいと思ってくれる人。
そして新しい時代に沿った柔軟な働き方をしたいけどどうしていいか困っていて、ハローワークや王道キャリアコンサルティングでは選択肢が狭くなってしまう人。
そんな方達の可能性を広げられるよう、新しい時代の仕事や働き方を一緒に考えられるカウンセラーになっていきたいと思います。